畔室長裏日誌

某写真系アトリエギャラリーを主宰しているsaorinです。乳がんを宣告されたのをきっかけに、個人的な日記が書きたくなって立ち上げました。主に乳がんの闘病日記と毎日のごはん簿をUPしていましたが、治療が落ち着いた今は登山・キャンプ・旅など趣味についても書いています。

生きているから、山に登る

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小林麻央さんの訃報を知って、市川海老蔵さんの会見を見てから、悲しく、やりきれない思いが心の中で入り乱れています。
同じ乳がんということもあり、気になってちょくちょくブログを見ていましたが、ここ最近、退院して自宅療養になったという日記を見て、来るべき時が来たのだと思いました。

癌と聞くと死のイメージがどうしてもぬぐえませんが、癌の進行具合も、症状も患者によって千差万別です。私は乳がんがわかった時点でステージ2(一部リンパ節に転移あり)でしたが、小林麻央さんの場合は乳がんがわかった時点で既にステージ4(他臓器に転移あり)でした。
それでも、いわゆる末期と終末期(ターミナル)は違います。
ステージ4でも、元気に暮らしている乳がん患者はたくさんいます。

けれども。
私があのまましこりを放置していたら、どうなっていたのだろう。
そう思うと、今回の訃報は他人事ではないのです。

乳がんは怖い病気ではありません。90%以上の乳がん患者が、早期発見・治療でほぼ元通りの普通の生活に戻れています。この私自身もそうです。
むしろ怖いのは、“無知”だと思います。

今の私は、病気であることを忘れているくらい、元気になりました。
病を意識しないで暮らせることが、どんなにうれしいことか。

全摘手術をした後は、施術箇所が痛くて自力で起き上がるのもつらかった。
一部転移していたリンパ節を切除した影響で左腕を上げづらくて、ホトリのシャッターを開けるのが大変だった。
化学療法(抗がん剤治療)を受けたときは、髪が全て抜けたりむくみで顔がぱんぱんになったりして人に会いたくない容姿になったし、手の皮膚炎がすごくてペットボトルのフタを開けられないほどだった。

何よりも、抗がん剤の影響で落ちた体力が半端なく、たかだか3階に階段で行きたかっただけなのに80代の老人並みにぜいぜいと喘いでいた自分に衝撃を受けました。

そんな頃、抗がん剤治療が終わった直後に登った、鎌倉アルプス
筋力・体力が戻っていなくてよれよれだったけど、とても楽しかった。

それから少しずつ山に登っては、山からエナジーをもらっている自分に気づきました。

樹木のざわめき、鳥のさえずり、通り抜ける風、木漏れ日の美しさ、

自分の息遣いをそれらに重ねつつひたすら登ることで、毒素が全て出ていって、細胞が生まれ変わるような感じでした。何よりも元気になることができた。

生きていることを実感できる場所、それが私にとって山でした。

抗がん剤直後はほとんど言うことをきかなかった自分の体も、今は少し高い山も余裕で登れるようになりました。
山に登るたびに、一生懸命酸素を筋肉に運んで、全力で進んでいこうとしてくれる私の今の体が、とても愛おしいです。

生きているから、走る、
生きているから、料理をする、
生きているから、歌を歌う、

生きているから、夢中になることは人それぞれ。

例えば今、手術を前にして不安な気持ちでいっぱいな人も、
抗がん剤治療中で体調がよくなくて気持ちが沈んでいる人も、

心から、生きてるってすばらしい!と思える時が来ます。

そんな時、生きているから夢中になれることが見つかれば、最高ですね。

私は、がん患者の皆さんにはぜひ、山登りをおすすめします!(笑)