畔室長裏日誌

某写真系アトリエギャラリーを主宰しているsaorinです。乳がんを宣告されたのをきっかけに、個人的な日記が書きたくなって立ち上げました。主に乳がんの闘病日記と毎日のごはん簿をUPしていましたが、治療が落ち着いた今は登山・キャンプ・旅など趣味についても書いています。

人の致死率は100%だから、今を生きる

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"Carpe diem."は"今を生きる"の意のラテン語格言だそうです

人の致死率は100%である

「人は必ず死ぬ」
今生きている人は皆、頭ではわかっている事実でしょう。
けれども、自分が死ぬことは遠い未来の話であり、今すぐ死を実感できない人が大半だと思います。私もそうでした。

日本は病や死についてオープンに話す習慣がなく、タブー視されていると思います。
死への漠然とした恐怖からか、どのように長く、しぶとく生きるかについては論じられていても、どのように死ぬかは語られません。少なくとも、具体的には。
なので、死へのイメージが直結する病気については、本当に暗くて重苦しいイメージしかありません。特にがんはその最たるものでしょう。罹患率はとてつもなく高いのにも関わらず、です。
かつての私がそうであったように、実際にその病にかかることについては、皆こと自分だけは関係ないと思っている。本当に、他人事なのです。
いやでもわかるよ。今までずっと健康だったし、インフルエンザにもかかったことないしさ、そんな死ぬかもしれない病に私がかかるわけがない、と心のどこかで根拠のない自信を抱いている自分がいるわけです。
そう思っているあなたは、ほんの数ヶ月前の私です。

でもそうなると、いつかは死ぬってわかってたけど、今その死ぬかもしれない現実を突き付けられた自分がいるわけで、さてそれって幸せなの?不幸なの?と自分に問いかけてみました。

乳がんになったけど、意外と悪いことばかりじゃないよ

人は、私ががんにかかったこと、病になったことを不幸そのものだと思うかもしれません。
確かにお金はかかるし、痛いこともあるし、健康な人に比べて不利な面は多々あります。
まあ病気にはならない方が一般的に見て幸せでしょうね。
実際、元気なんだからいいじゃないさ、と私自身、他人に対して思うこともありますから。
けれども、これが悪いことばかりじゃないんだな。
むしろ、この気持ちをリアルに体感できる自分は、すごいアドバンテージを持ったマイノリティなのではないかと思えてきました。いやほんと。自分スーパーポジティブ。

まず、幸せのハードルが思い切り下がりました。
今日食べたごはんがおいしかった、乗ろうとしている1本前の電車に間に合った、借りたDVDの映画がおもしろかった、誰かからメッセージが届いた、などetcetc。
今は手術の傷も癒え、全摘出した左胸は再建準備のおかげで以前より巨乳!(無駄に)
胸が安定しているゆえに横を向いて寝ながらスマフォいじれる幸せ!
ほんとにささいなことだけど、手術後しばらくは深呼吸すらきつかったので、本当にうれしい。
そして、精神的に強くなりました。
くだらないと思うこと、私にとってネガティブになりそうなことは、ナチュラルかつ華麗にスルーできるようになってきました。
もともと仕事柄そういう免疫はあったのですが、さらにパワーアップしたらしいです。
死ぬよりマシ、とリアルに思えたらそりゃ人生観も変わりますし、強くなれます。

今、生きている時間はみんな平等です

ネットの住民にはほんとに色んな人がいて、北斗晶と検索すると、余命 寿命という単語がくっついて出てきます。低次元な人間だなー・・・
確かに北斗晶さんや私は病気になった分だけ、同じ年齢、同じ健康状態だった人に比べて寿命が短くなった確率は高いかもしれません。
でも、ネットでそんな検索をしている人間の10年と、北斗晶さんの10年と、どちらが幸せだろうか。そんなことを考えます。
身体的負担面の理由から、病気ではない健康な人の10年の方が幸せだという意見の方が多いことは明白ですが、それは外から見える要因に過ぎません。
世間一般的な平均値からのものさしでしか幸福を感じられない人から見たら、私は確実に不幸でしょう。そういう人たちは、相対的な価値がないと自分の幸福度を測れないからです。
でも、私自身の幸福度は私が決めます。
人に幸福だと認めてもらえない限り、自分が幸福かどうか認めることができない人間は、不幸だと、私は思います。

私も、私のことを心配してくれている周りの人も、同じ病気にかかった北斗晶さんも、また彼女の余命についてとやかく言う輩も、ほかにもたくさん、この世の中に今生きている人が本当にたくさんいますが、死までの時間、逆にいえば今生きているこの時間は皆に与えられた平等な時間。
どうせ、皆が死に向かって歩いているなら、私は今この1分1秒だってつまらない時間にしたくない、今自分が生きているこの時間を、私は全力で楽しくHAPPYなものにしたいです。

「告知で死を考え、病気を経て生を思う」

私が入院している時に、売店で買った乳がん患者向けの絵本リーフレットで一番響いた言葉です。
今、自分が生きているこの時間と、私の周りにいてくれる人たちにありがとうを言いたいです。

今日(1/15)は38回目の誕生日なので、感謝を込めてちょっとまじめなことを書きました。

Thank you, everyone!
Especially, I wanna say thanks to my basket worm prince & Avi.
Thank you and I love you.